『がん診療情報シリーズ 1』
海南病院は、地域の基幹病院として沢山の役割を担っておりますが、その中で、尾張西部のがん診療連携拠点病院として国から指定を受けております。拠点病院として、がん診療体制の充実は勿論ですが、がんに関する相談支援センターを設置しておりますし、また、緩和ケアチームや緩和ケア病棟(ホスピス)も整備しております。日本における死亡原因第1位のがんをあらゆる角度より対策を講じるため、今年4月『がん対策基本法』が施行されたのをうけ、国もがん対策を強力に推し進めております。その意味からも、先回よりシリーズで、がん情報をこのメディカルサロンでも取り上げております。
 今回はがんの早期発見の観点から、がん検診についてお話をしたいと考えます。

 まず、がん検診の基本方針は、次の6項目から成り立ちます。

(1)がんになる人が多く、また死亡の重大な原因であること がん検診の対象は健康な人です。このため、がんが見つかる確率は必ずしも高いとは言えません。検診を行うのに向いているがんは、そのがんになる人が多いこと、またそのがんによる死亡が多いものです。こうしたがんは、がん検診により多くの人々の命を助けることができます。 具体的には、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸(しきゅうけい)がん等です。

(2)がん検診を行うことで、そのがんによる死亡が確実に減少すること

(3)がん検診を行う検査方法があること

(4)検査が安全であること

(5)検査の精度がある程度高いこと

(6)発見されたがんについて治療法があること 発見されたがんに対する治療法が確立している必要があります。効果的な治療法が確立していることにより、救命が可能になります。

近年、がん検診の効果を科学的な方法で評価したうえで、「効果がある」と分かってから公共の政策として実施することが国際標準となってきました。実は、がん検診にも効果があるものとないものがあるのです。
わが国でも、がん検診の効果の判定は行われています。この中で、科学的な方法によってがん死亡率の減少が認められたのは、表1に示す幾つかの検診です。

【表1】科学的根拠のあるがん検診
対象臓器効果のある検診方法
胃X線
子宮頸部細胞診
乳房視触診とマンモグラフィ(乳房X線)の併用
胸部X線と喀痰(喫煙者のみ)の併用
大腸便潜血検査・大腸内視鏡
肝臓肝炎ウイルス・キャリア検査
表1以外でも、多くの検査がありますが、幾つかの検査を組み合わせることも大切ですし、人によっては、受けにくい検査は別の検査で代わりをすることも可能でしょう。国立がんセンターからの科学的根拠のある検診方法を基本に、地域で本当に有効な検査方法を検討していかなければなりません。そして、1人でも多くの方々にがん検診を受けていただき、早期発見、早期治療に結びつけることができれば、と考えます。  海南病院では、がんの相談支援センターを設けております。どのようなことでも結構ですから、ご利用いただければ幸いです。 (なお、データに関しては、国立がんセンター:がん情報サービスから引用させていただきました。)